『素材写真展』—広告表現とはなにか。

2016-01-29-Fri

素材写真展

 最近、ネットニュースや、配信されてくるブログのタイトル画像に、「素材写真」と思われる画像をよく見ます。「素材写真」、かつては「貸しポジ」と呼ばれていましたが、もはやポジでもないですし、レンタルということでもなくなりつつあります。価格設定も大きく変わり、媒体や公開エリアなどの細かいメニューもどんどん消えています。とにかくインターネットがビジネスのカタチを大きく変えたのでしょう。使い勝手は格段によくなり、アマナさん、シャッターストックさん、ピクスタさんと、弊社でもずいぶんお世話になっています。

 さて、そもそも「素材写真とは何か。」というお題は、じつはとても深くて考察に値する問題なのです。広告やメディアで消費された「らしさ(イメージ)」を周回遅れでアーカイブしている「素材」という世界。しかしその長々とした考察はまた今度にゆずるとして、本日は、弊社御用達「シャッターストック」さんの「1日25ダウンロードプラン:1ヵ月3万2千円」という破格サービスを利用して、世界初、素材写真だけの写真展、「素材写真展」開催です。

 写真のタイトルは、画像を探す際の「検索ワード」。画像は、結果の1ページ目に表示されたものの中からチョイス。

 表現とは何か、広告とは何か、リアリティとはなにか、イメージとはなにか、そして、カテゴリーあるいはタグとは何か。検索とアーカイブ、そしてキュレーター時代のコミュニケーションにおける問題が、ばかばかしくも芸術的に考察されるはずです。

家族
恋人
社長
驚愕
号泣
嫉妬
祈り

 つまるところ、「素材写真」とは、言葉の着ぐるみなんですね。このベタっぷりを笑うのは簡単ですが、この着ぐるみの再生産がデザイナーの仕事です。たぶん。

 しかし、現在はこうも言えます。今は「素材の時代」ですと。写真に限らずイラストやマーク、アイコン、各種商品のパッケージラベルやロゴの雛形、職種別の企業パンフレットやチラシのテンプレートまで、もうなんでもネット上に溢れています。しかも、困ったことに、こちらの意図を超えて、「あれ、こっちのアイデアの方がいい」と思わされることも少なくありません。五輪のエンブレムも素材屋さんで探した方がいいかもしれません。冗談でなく。例えば五輪エンブレムが紛糾した頃、こんな声がありました。「デザイナーってネットの画像をテキトーにコピペしてるだけなのか」と。著作権のことを除けば、否定しません。あと、「テキトー」ではないですが。

 売るべき商品とターゲットユーザーを入力したら、あっという間に100案の広告が出来、そのままネット上でクリック率がテストされ、最適広告が選ばれるという、広告制作自動化サービスはそんなにファンタジーでもないと思います。というより、何かを売ったり人を集めるための「広告」そのものが問われています。はたして「表現」とはなんでしょうか。これはネガティブな感慨ではありません。面白い事態だなあと思っています。