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エムキュウデザイン、2014年3月14日のニュースです。

いまごろ振り返る、都知事選と
そこからの分人民主主義。

2014年3月14日(金)

ソチ・パラリンピックが大詰めですが、
閉会したソチ・オリンピックのさらに前。
憶えてますか? 都知事選。

昨年末も末の末は、おおみそか、
宇都宮健児候補の選対から
ウェブサイト制作依頼のメールをいただいた。
前回の都知事選からの縁だけど、
仕事を超えて、氏の掲げる考え方、政策にも賛同できる。
問題なのは、スケジュールのタイトさだけど、
弊社、頼もしい新人を迎えたばかり。

断る理由はありません。

さて、お正月明け、
作業をはじめてすぐに聞こえてきたのは、
細川護煕氏立候補のニュース。
「脱原発」を第一義に、あのコイズミサンを従えた現れ方は鮮やかで、
安倍政権へのNOが鮮明な「勝てそうな候補者」が降臨した。
かに見えた。よね?

そして一本化へのなんやかや。

飛び交う声を頭上に聞きながら
告示日の納品を目指して、低い姿勢&ダンマリで作業は進む。
もちろん、他の仕事同様、
その「商品」が、より魅力的に見えるサイトを目指して。

そして、迎えた告示日の1月23日。
日々の更新作業は選対スタッフに委ね、
実質、弊社の作業は完了した。

あんだかんだの選挙戦。
結果、新しい都知事は桝添氏となった。
で、

今回の「どっち問題」についてのさまざまな考察。

いちばん腑に落ちたのは、
マガジン9の雨宮さんの記事で見つけたこの言葉。
「交通事故」。

そのとき、たまたまそこにいた。みたいな。

だけど、どうだろう。
じゃあ「事故」じゃないときってあんのかな、
とも思った。

僕らは、いつだって、たまたま、そこやここにいるんじゃないのかな。

誰もが、さまざまな属性を生きている。
会社や学校での顔、家族での顔、地域での顔、サークルでの顔、
あるいは、ネットでの顔。
もちろん、ジェンダー的都合の顔もある。
車の運転手、自転車や歩行者の立場なんてのもあるかもしれない、
などなどなど、、、。

そんな属性の数だけ、もっと言えば接する人の数だけ、
人は異なる顔をもっている。
そんな無数の顔つきを貫いて矛盾のない態度で生きることは可能なのかな。
僕には出来ない。
矛盾しているから、君はその属性を捨てるべきだ
なんてことも言えない気がする。
それが、君にとってのなりわいとしての属性ならよけいに。

ことほど世界は複雑なのに、
誰であれ、いずれか1つの選択を迫られる。
さあ、誰を、何を、君は選ぶんだって。
それが「選挙」だし、今の「制度」だ。
この矛盾だらけの内面を、無理矢理ひとつに統一することが求められる。
この脅迫は、もれなく「責任」とセットになっていて、「硬い個人」を形成する。
「硬い個人」はあっちこっちにぶつかりながら歩かざるをえない。
それが、信用できるオトナってやつでもあるんだけどね。

分人民主主義。
「立場上こっちにいますが、ほんとはちょっと違うんです」
というような、
この「ほんとはちょっと違う」を社会に反映する仕組み。
自分の1票を分割して複数の選択肢に投票できる仕組み。

ま、ただ、今回の「どっち問題」の悩ましさ、
分人投票は、精神衛生以外の意味はないかもしれないし、
何かを解決してくれるとも思わない。けど、

たとえば、
原発をなりわいにしているひとが脱原発を思う。
基地で稼ぐひとが、基地のない地域を思う。

こんなふうな利害や立場から「こぼれる感じ」を投票に反映できたら
すこしばかり票バランスは変わるんじゃないか。
もれなく0.3票集めた候補者、あるいは「案」がいい線いくかもしれない。
極端なものは選ばれにくく、誰にとっても、今よりは、
今よりはナットク度の高い社会になるんじゃないのか。
っていうのが「分人民主主義」の夢らしい。

みたいなことではじまった2014年。
ていうか、もうサクラ咲きそうですね。

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